【武蔵野市の司法書士】相続対策の優先順位、その4
相続対策についての優先順位について前回に引き続き、考えてみたいと思います。
一口に「相続対策」といっても、切り口が様々あり、「こちらが立てば、あちらが立たず」で、どこからどのような順序で考えたらよいのか、と悩むところでしょう。
そこで、考えるべき切り口ですが、①争族対策②納税資金対策③節税対策④認知症対策、が挙げられます。
結論から言いますと、まず、大きな戦略としては、①争族対策→②納税資金対策→③節税対策、の順番が優先順位だと考えます。
そして、この大きな戦略を実現するための生前対策を行うにあたり、その障害を除去する対策が戦術であり、それが④認知症対策であろうと思うところです。
そこで、今回は、最終回ということで、④認知症対策について考えます。
今まで①から③まで優先順位をつけてきましたが、④認知症対策は、上記の通り、今まで述べてきた対策を実現するための戦術です。
そもそも、相続対策というものは、生前対策が重要で、相続後には、やれることが大きく限定されます。 何よりも生前対策です。
しかし、その生前対策を阻害する要因となるのが、認知症です。
いったん認知症になってしまうと、現在の医学では、回復は難しいようです。認知症の種類には、改善するものもあるやに側聞しますが、一般論としては、相続対策という観点からは、回復は難しいと考えるべきでしょう。
認知症になってしまった場合、財産管理の面からは、まず、成年後見制度の利用がかんがえられます。
成年後見制度は、法定後見と任意後見があります。
法定後見は裁判所により後見人等を選任する制度で、任意後見は本人が元気なうちに任意後見人候補者を選んで契約を結び、認知症等になってから任意後見人候補者等が裁判所に正式就任を申し出て、その際、裁判所で選任した監督人がつくことにより、本格的なスタートになります。
いずれにせよ、裁判所は本人財産の保護が第一であり、相続人のことも考えて投資などのリスクあることは認めませんので、その点、柔軟な相続対策を考えた場合、一定の限界があります。
その点では、民事信託(家族信託)の活用が考えられます。
民事信託(家族信託)は、契約ですが、その中で、被相続人のみならず、相続人たちにも配慮、また、そのまた次の世代にも配慮した柔軟な対策を設計することができます。
ただ、民事信託(家族信託)とても万能なわけではなく、任意後見制度や成年後見制度を使わなければ、穴を埋められない場面がありますので、お互い補完しあって併用することになります。
また、上記のいずれの制度でも果たせないのが遺言です。
これは、認知症になってからでは、難しくなります。厳密には認知症になってからでも、本心に服している場合に出来るという理屈になっていますが、現実にはかなり難しいと思われます。
そこで、元気なうちに、遺言書を作成することをお勧めいたします。
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