【武蔵野市の司法書士】配偶者居住権について

query_builder 2021/11/01
雑感

 今回は、配偶者居住権について、お話しします。


 このところ、相続に関する法改正が立て続けに行われ、その中の一つとして、令和2年4月1日から配偶者居住権がスタートしました。


 配偶者居住権とは、例えば、妻が、それまで夫名義の持ち家に住んでいたが、夫が死去し、建物を妻ではなく、息子が取得する場合、妻がそこにその後も長らく安心して住み続けられるようにするための強い権利を妻に与えよう、という制度です。


 しかし、普通は、妻と息子は、血のつながった親子ですから、なかなかそのような耳慣れない制度を使うよりも今までの制度の枠内でのわかりやすい、例えば、母親の名義にするなどの対応になるのが多いのかなと思います。


 実際に利用が考えられるのは、緊張感のある、例えば、後妻さんと前妻の子が相続人になるケースかなと思います。


 その場合でも、税金関係を考慮に入れると、安易に使う制度ではないようです。


 大雑把に言いますと、配偶者居住権は、一つの財産として、金銭的評価がされますので、建物の所有者になった相続人が受け継ぐ建物の価値は、建物全体の評価額から配偶者居住権の評価額を引いた残額に減額されます。


 勿論、配偶者居住権の評価額は、その配偶者が相続したものとされます。


 そのことから、建物所有権を取得した相続人は、相続税においては、その分節税になります。


 しかし、配偶者居住権に設定された期間が配偶者の死亡まで、となっていた場合に、途中でその配偶者の気持ちの変化のため、相続後、1年程度で気に入ったマンションを購入して、そこに住むため、配偶者居住権を消滅させた場合ですと、建物所有者にとって、相続時の低い評価額が実はそんなに低くなかった、ということになります。


 その際、有償で消滅させたら所得税がその配偶者に発生し、無償なら建物所有者たる相続人に贈与税が発生するということのようです。


 また、制度スタートしてまだ実際の事例が多くないので、判断に迷うケースが多々あり、思わぬ税務署の見解によって、思わぬ税負担が発生してしまう、ということがありますし、長い期間のうちに法改正や税務署の見解変更によっても先々思わぬ縛りが発生してしまうことも考えられます。


 また、建物を売却する必要が将来出てきた時にその配偶者が認知症になっていたりしたら、成年後見人を裁判所に選任してもらわなければならないケースなど、思わぬ手間が発生してしまうことも考えられます。


 いずれにせよ、「配偶者居住権」は基本的に長期にわたる制度ですので、安易に設定することはせず、慎重に判断することが大事でしょう。



 


 


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