【武蔵野市の司法書士】民法等改正について2
令和3年4月28 日公布の民法等の改正についてですが、以下の通り、施行日が3段階に分かれています。
まず、改正法全体の原則的な施行日ですが、「公布の日から起算して「2年」を超えない範囲内 において政令で定める日」です。
また、相続等に関係するものなどが、「公布の日から起算して「3年」を超えない範囲内において政令で定める 日」です。
さらに、住所変更等に関係するものなどが、「公布の日から起算して「5年」を超えない範囲内において政令で定める 日」です。
今回は、その中の原則的な施行日に施行される民法の新設条文の中で、継続的給付を受けるための設備の設置権・使用権についてお話しします。
東日本大震災の復旧に際して、所有者不明の土地があることによって、そこに新たにライフラインの敷設が出来ないという事態が生じました。
その事態を契機として、その解決のため、というのがおおきな改正の要因のようです。
ここで、継続的給付を受けるための設備の設置権・使用権(新民法第213 条の2)とは,土地 の所有者が電気,ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を受けるため 必要な範囲内で,他の土地に設備を設置し,又は他人が所有する設備を使用することが できる権利です。
所有者不明土地の近隣の土地所有者にとって必要なライフラインの 敷設を可能にし,所有者不明土地の弊害除去に役立ちます(制度そのものは所有者不明土地 に限らず土地の所有権全般を対象としています)。
※継続的給付を受けるための設備の「設置権」「使用権」であって「設置請求権」「使用 請求権」ではないので,他の土地の所有者・設備の所有者の承諾は不要です。
権利行使の要件としては、
① 設備の設置又は使用の場所及び方法は,他の土地又は他人が所有する設備のために 損害が最も少ないものを選ばなければならない(新民法第213 条の2第2項)。
② あらかじめ,設置又は使用の目的,場所及び方法を他の土地等の所有者及び他の土 地を現に使用している者に通知しなければならない(新民法第213 条の2第3項)。
設備の設置権・使用権の行使に伴う金銭的負担については、
●設備設置権者の金銭的負担
① 他の土地の所有者や土地使用者に一時的に生じる損害に対する償金は,一時金に より支払われるべきものとされている(新民法第213 条の2第4項後段・第209 条 第4項)。
② 設備の設置によって土地が継続的に使用することができなくなることによって生 じる損害に対する償金については,1年ごとの定期払の方法が認められている(新 民法第213 条の2第5項)。
●設備使用権者の金銭的負担
① 他人が所有する設備の使用を開始するために一時的に生じた損害に対して償金を 支払わなければならない(新民法第213 条の2第6項)。
② 継続的に設備使用の利益を受ける割合に応じて,設備の修繕,維持等に要する費 用を負担しなければならない(新民法第213 条の2第7項)。
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