【武蔵野市の司法書士】使用者責任について
本日は、登記を離れて、民法における使用者責任についてお話しします。
「使用者責任」とは、事業を行っている会社等の従業員が仕事中に事故などを起こし、その場合、会社等は、その従業員とともに、損害賠償責任を負う、という責任です。
この規定の狙いは、被害者救済にあります。
つまり、被害者からすれば、加害者から損害賠償を受けるにあたり、加害者に資力があまりない場合、実際のところ、賠償金を受け取れない、ということが多々あります。
その場合でも、加害者が仕事中に起こした事故なら、一般的に、使用者たる会社等に責任を問えるなら、実際のところ、賠償金を取れる可能性が高いだろう、ということになります。
そして、会社等は被害者に賠償したのち、その従業員に、その責任の割合に応じて、求償することができるとなっています。
ただし、弱い立場の従業員には、支払った賠償金のうち、一部のみに制限されています。
例えば、繁忙期において、多少無理なスケジュールで配達をさせた、など、立場の弱い従業員がそう簡単に断ることができないのが実際です。
ですので、現実の場面では、裁判では、被害者としても、その従業員に加え、会社等も訴えるケースがほどんどだろうと思います。
しかし、被害者が誰を訴えるかは自由です。(ケースとしては稀でしょうが、)何らかの理由で、従業員のみを訴える場合もあります。
そのようなレアケースにおける最高裁の判例が令和に入って出ました。
そこでは、まず、従業員のみが訴えられて、賠償金を被害者に支払ったのですが、その後、使用者も人を雇っている以上リスクは、分担してもらいたい、ということしょうが、会社等に賠償金の求償を求める裁判を起こしました。
下級審では、認められない、となりましたが、最終的に最高裁で、認められました。
この最高裁の決定はもっともなことだ、と思いますが、私が驚きなのが、下級審の決定です。
一般論として、下級審が(極端とも思えるほど)弱い立場を応援し、最高裁に行くと、大人の判断になる、と、多々、私が感じていたところですが、今回は逆のようでした。
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